第42回『Startup Go!Go!の取組みに見る当世起業家(支援)事情』

 今回は、一般社団法人Startup GoGoマネージャーで、黒川合同会計事務所執行役員の寺井博志氏にご登壇頂きました。

 

 4年前に『グローバル創業・雇用創出特区』に指定された福岡市。その歩みに呼応するように活動を開始したのが、「起業家の、起業家による、起業家のための」支援プログラム『Startup Go!Go!』です。

 

 IPO支援歴18年の実績を持つ岸原稔泰氏を発起人として設立されたこの試みは、今や福岡のみならず、東京・大阪・上海・台湾といった経済圏のインキュベーターとも連携し、福岡市が目指す、アジアの経済ハブ拠点としての下地作りに貢献しています。

 

 寺井氏は、3年前に岸原氏からお誘いを受け、税理士業の傍ら、マネージャーとしてこのイベントの舞台裏を支え続けてきました。寺井氏の税理士としてのスタイルは、数字を扱いつつ、その行間から見えてくる会社のストーリーに着目し、そこから改善策を図るというもの。なかでも創業したての会社経営者のチャレンジングな姿勢と発想力は、氏に大きなモチベーションを与えてきました。次第に創業支援という取り組みに強みを見出していったのは、氏にとって自然な流れだったのです。

 

 その過程で、前述の岸原氏と出会い、プログラムの運営主体に積極的に携わっていくことになるのですが、そこで改めて思い知らされたのは、九州の脆弱なリスクマネー環境でした。多くの若い起業家は、アイデアを具現化する為の資金力を持ち得ません。それゆえに、資金面において支援してくれるパートナー(インキュベーターやアクセラレーター)が必要な訳ですが、現時点の福岡においては、そのようなイノベーションの『生態系(エコシステム)』は、未成熟さを否めません。寺井氏をはじめとする『Startup Go!Go!』スタッフは、その新たな生態系を実現させる為に、起業家・投資家双方に対して、積極的かつ多面的な働きかけを日々試みているのです。