「フォースとともにあらんことを」 自分の在り方を問うジェダイ哲学。

 これを書いている現在、劇場では映画『スター・ウォーズ(以下S.Wと略)』シリーズの最新作、『最後のジェダイ』が公開初日を迎えたところです。ファンとしては早く観に行きたいのですが、この原稿を書き終わるまでは、席を離れられません。我慢です(苦笑)。

 

 第一作目『エピソードⅣ・新たなる希望』が全米公開されたのは77年(日本は翌年)。当時、僕は小学生でしたが、その僕が50歳になった今でも、最新作が熱狂的に迎えられている事実に驚かされます。次回作の予定もあり、半世紀に渡って製作されるシリーズになりそうですね。

 

 『ジェダイの哲学 フォースの導きで運命を全うせよ(ジャン=クー・ヤーガ著/学研プラス刊)』は、S.Wシリーズに登場する、銀河系の自由と正義の守護者、ジェダイ騎士団の哲学を紐解いた作品です。著者は、銀河共和国後期から銀河帝国の崩壊までを生き抜いたジェダイ騎士とのこと(笑)。

 

 趣味本程度の感覚で読み始めたのですが、まずはシリーズ全体を貫く世界観の奥行の深さに、あらためて圧倒されました。且つ、ジェダイ騎士の自己修練哲学の中に、今現在、僕自身が抱えている、課題解決のための指針を見出せたような気がして、有意義な読書経験を得ることが出来ました。

 

 その課題とは「どのような心の在り方で、自身の社会貢献を、生涯現役で全うしていくか」というものです。今後さまざまなビジネスが、技術革新とわが国特有の人口動態を震源として、激しい変革の大波に晒されていきます。ステークホルダーに対する利益相反と利益共存の狭間で、苦しい選択に迫られる場面も多々現れるでしょう。今まで全く信じて疑わなかった古い価値観が、一夜にして崩壊するのを目の当たりにするかもしれません。その時、自分はどのような信条で、如何にして対処するか。『恐れ、感情、執着に支配されない生き方』が存在するならば、その最大の主体性とは何か。長い歳月、銀河系で繰り返された光と闇の攻防を、静かにみつめてきたひとりのジェダイ。彼の、愛ある教えに癒される一冊です。