「お金がすべて」の社会のその先に 起業家、家入一真の壮大な挑戦

 僕はお客様との面談のなかで、今後の世界や日本経済の行方について、よく意見交換をします。特に、今後の日本社会が確実に直面する人口減少の影響。それが引き起こす内需や国際競争力の低下といった経済の問題。そして、その先に待ち受けている物価高の可能性や、社会保障の変化など。そうしたシビアな将来像の中で、総ての対策を国まかせにせず、今からでも個人として実践すべき事があるとすれば、それは何か?

その僕なりの結論が、「お金のリテラシーを高める」「生涯現役の働き方を模索する」であり、実際に、僕はその実践の途上にいます。

 

 このテーマについて、新しい想像力を与えてくれた本に出逢いました。『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか。(家入一真著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)』という本です。

 家入氏は、レンタルサーバーサービス事業で成功した起業家として有名ですね。現在はクラウドファンディング「CAMPFIRE」の代表取締役として、次々と革新的なサービスを提供しています。 

 家入氏は、何故クラウドファンディング事業を始めたのか。競合他社のサービスと、「CAMPFIRE」の違いとは何か。事業が発展していくその先に、どのような社会の実現を望んでいるのか。

 本の趣旨はこのような感じですが、僕が着目したのは、彼の事業意欲の根底にある深い洞察力と、今まで日本を牽引してきた資本主義経済への強い問題意識。起業家としての確固たる使命感でした。

 

 「大きいことはいいことだ。」このスローガンのもとで圧倒的な成長を実現してきた日本の資本主義経済。しかしながら、人口減少社会の到来を迎えたわが国が、今後も同じ仕組みで経済を循環させるのは困難です。かつての『大きな経済圏』だけではない、持続可能な『小さな経済圏』の構築をも視野に入れた、資本主義のアップデートが始まろうとしている。家入氏の考察を辿る事で、個人としての幸福な労働のかたち、その一端を垣間見れた気がしました。