第46回 『ハニーおやじ、愛と誠の珈琲ビジネス談義』

 今回は、井崎珈琲有限会社(ハニー珈琲)代表取締役の井崎克英氏にご登壇頂きました。ふとした偶然の積み重ねや出逢いから、人生が大きく様変わりすることがある。小説や映画ではよくあるフレーズですが、やっぱりそういうことって現実にあるのだなと実感出来るお話でした。井崎氏曰く、スペシャルティ・コーヒーに出逢わなければ、今のハニー珈琲の成長も、世界最高峰の豆を選出する国際審査員も、経験出来なかっただろうとのこと。

 

 世に流通している上質な珈琲豆の一部は、国際的な審査会の厳格な基準により選別されています。珈琲豆屋を営みながらも、なかなか理想の豆に出逢えなかった氏が、01年にようやく出逢えたスペシャルティ・コーヒー。それは、国際的な審査会によって82/100点以上を獲得しなければ格付けされない、高級品でした。当時の日本にはほぼ出回っていない、希少な豆だったのです。

 

 この特別な珈琲が醸し出す本物の美味しさを、たくさんの日本人に知ってほしい。氏は、仲間とともに、スペシャルティ・コーヒーの流通ルート構築に莫大な時間とお金を費やします。お店は儲かっていないので、その資金源はもちろん借金。それだけ心血を注いでも、商売が成り立つ流通ルート構築は困難かもしれない。見通しが利かないリスクに真っ向から挑まれていた当時のご自身を「馬鹿者」と表現する氏ですが、この珈琲豆には、それだけ氏を夢中にさせる大きな魅力があったのでしょう。

 

 珈琲をしっかりお客様に楽しんでもらう為の焙煎技術や接客にも、氏のこだわりは大いに発揮されました。そんな努力の甲斐が実り、その後、ハニー珈琲に魅せられた若者たちが、その味を受け継いで、人気のカフェをいくつもオープンさせました。今や福岡は、全国的にも注目される「スペシャルティ・コーヒーのメッカ」として、知られるまでになったのです。