民間ロケット開発を続ける理由。 「どーせむり」根絶で世界が変わる。

うちの長女は、来年高校受験を控えています。親に似て吞気な性格で、希望を聞いてもまともに答えてくれないのですが、行きたい学校の条件を聞いて、唖然としました。彼女曰く「制服が可愛くて、家から近くて、親しい先輩がたくさんいる」学校が希望なんだとか。もうちょっと高い志で進路を選んでもらえないものか(苦笑)。

 

そんな時、4月末に福岡市内で、植松努さんの講演会が開催されることを知りました。長女にぜひとも聞かせたい。そう思って、親子での参加申し込みをしたのです。

 

植松さんは、北海道赤平市で小さな町工場を経営されています。主たる事業は工業用マグネットの製造が8割。残り2割は、民生用ロケット開発の分野で健闘されている、極めて珍しい会社です。

 

植松さんを一気に有名にしたのは、14年に開催された『TED x Sapporo』でのスピーチ映像でした。映像はユーチューブで公開され、現在迄に300万回もの視聴がカウントされています。

「僕にとって宇宙開発は、僕の夢じゃないんです。宇宙開発は僕の手段に過ぎません。」スピーチは、そんな言葉から始まります。

 

植松少年の夢は、潜水艦や飛行機を創ることでした。しかし、その夢はことごとく学校の先生に否定されます。懸命に試験勉強をして、良い学校に進学し、良い会社に就職する。「夢」とは「進路」であり、「進路」とは「学校名・会社名」であると信じられていた時代。その思考は、世の中が大転換しつつある今でも、教育現場でまかり通っていて、それが子供たちの挑戦心を蝕んでいる。そう植松さんは主張します。既に少子高齢社会を生きている現代日本。創造を楽しみ、失敗を許容し、新たな価値に挑戦する心まで失ったら、この国に未来はない。だからこそ自分は、「ムリだ」と言われ続けた民間ロケット開発に挑戦するのだと。

 

長女が、彼の話をどれくらい受け容れたかは不明です。むしろ、動揺したのは僕の方だったかも。娘を心配する以前に、僕自身は、創造的な生き方を出来ているか?省みざるを得ない一日でした。