第48回『わたしのお客様はどんな人?「価値」と「対価」をめぐる考察』

 今回は、『伝わるマンガ家』の緒方きえ氏にご登壇頂きました。小さな頃からお絵描きが大好きだった緒方さん。高校卒業後はホテル勤務の職に就いたものの、やはりマンガ家になる夢を捨てきれず離職。マンガの専門学校に通いながら日々原稿に向き合いつつ、大手出版社デビューの機会を伺う日々。しかし、その狭き門に片足を突っ込んだ矢先に燃え尽きてしまいます。帰郷後の生活は、失望感と対人関係に苛まれ、次第に疲弊していきました。

 

 一念発起して、イラストレーターとして起業したのは31歳の頃。疲弊した生活から自分を取り戻すために学んだコーチングにヒントを得た彼女は、自分と同様の『30代崖っぷち女子』をコーチし、なりたい自分をイラストで表現してあげることで喜んでもらうサービスを思いつきます。しかし、結果的にはこのサービスはうまくいかず、営業先では仕事を買い叩かれる始末。ひと月はかかる仕事を、わずか3万円で受けた事も。

 

 そのような逆境下で、彼女はハタと気がつきます。自分のビジネスにはそもそもマーケティングの発想がなかったのだと。自分のサービス(コーチングとマンガのハイブリッド)が差別化出来るのは間違いない。では、これを受け入れてくれるお客様は一体どんな人で、どこにいるのだろう。

 それをあぶり出してくれるマーケティング手法が『ペルソナ』でした。「自分のサービスを使ってほしい理想の顧客像」を知ること。「顧客情報やインタビュー、調査データ等の実在する情報から、架空の顧客像を描き出す」作業です。

 

 この作業により、『伝わるマンガ』の理想の顧客像(コーチ・コンサル・セミナー講師)を見出した緒方さんは、積極的に営業先へのアプローチを実行、先鋭化させていきます。今年5月には37件もの依頼を受け、やっとサービスが認知されつつある緒方さん。これからの活躍が益々楽しみです。