今回は、観たらちょっぴり元気になれる映画をご紹介しますね。90年代のアメリカでアイデア商品のヒットを連発し、破産寸前から巨万の富を築いた女性起業家、ジョイ・マンガーノの自伝的映画。その名も『JOY(デヴィッド・O・ラッセル監督/ジェニファー・ローレンス主演)』です。
ジョイは、ふたりの子を育てるシングルマザー。テレビが生き甲斐の無気力な母と、年老いた祖母も、彼女なしでは生活できません。そして、なぜか家の地下室には、離婚したはずの元夫と、母親と十数年前に離婚し、別の女性と暮らしていたはずの父親が同居中。
子供の頃からモノづくりが大好きで、将来はその道で活躍したいと夢を描いてきたジョイですが、家族の無理解と結婚生活の失敗が、彼女の人生に失望の影を色濃く落としていました。
そんな彼女に人生の転機が訪れます。父親の新しい恋人から招かれた船上の食事会で、デッキに落としたグラスの破片を片付けるジョイ。モップを絞った彼女の手は、血だらけです。落ちこんだ彼女の頭に閃いたのが、手で触らずに絞れるモップのイメージでした。
すぐさま彼女は商品開発に没頭、見事に自己絞り式設計を取り入れたモップ『ミラクルモップ』を完成させます。フツーの主婦だったジョイの起業家デビューは、最初から困難の連続。彼女の並々ならぬ熱意に突き動かされ、様々な支援者が多額な資金や機会を提供しますが、残念ながら商品はさっぱり売れない。彼女は20万ドルもの借金を背負ったまま、自己破産寸前の状態に陥ります。しかし、彼女の本当の勝負は、ここからが始まりだったのです。
実在のジョイは、こう語ります。
「私はその辺にいる他のみなさんと変わりません。母親ですし、仕事もします。掃除すべき家もありますし、整理すべき物もあります。私たちは皆同じようなニーズを共有し、それをただ私が補完しているだけなのです。」
この発想がともなう彼女のプレゼンスは、物語の重要な各シーンに投影されています。「ありのまま」の自分を表現する姿勢は、商売においても、また本質ですね。
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