今回は、WEDGE+(ウェッジプラス)代表の松本治氏にご登壇頂きました。開業間もないキャナルシティ博多の建築デザインに魅かれて、建築設計の世界に飛び込んだ松本氏。以降東京などで修業を積み、2012年には福岡でインテリア・デザイナーとして独立。現在の会社を設立しました。以降、センシビリティで遊び心が溢れる居住空間を、クライアントに提供し続けています。「固定概念にとらわれない」「顧客の想像を超えているか」「顧客にどんな利益(体験)を供与出来るか」などのデザインに対する姿勢が、留まらない彼の進化を促しています。
彼はクライアントに、「選択肢は無限大」というメッセージを伝えています。発想と工夫次第で、居住空間はもっと魅力的になる。さまざまな制約も、「敢えて振り切ったデザイン」で臨むことで、克服出来る事を知っているのです。
しかし昨年、その考え方が最も発揮出来ていないケースがあることに、彼は気が付きました。身障者の居住空間です。機能的ではあるかもしれないが、あまりにも画一的。身障者のためだけに存在するようなデザイン。彼らにも、ひとりひとりの感性が表現出来る居住空間のモデルがあってもよいのではないか。そう感じた彼は、その可能性を模索するために情報を収集します。
その最中に出会ったのが、画期的な足漕ぎ車椅子『COGY(コギー)』でした。その機能性とデザインに感銘を受けた彼は、この車椅子をコンセプトにしたデザインを思いつきます。ハンディキャップ用インテリアデザイン『WHEEL(ホイール)』です。
このプロジェクトはまだまだこれから。普及浸透のための様々な協力者や理解者が必要です。「ハンディキャップは障害ではない。自分の体はこんなにユニークなんだ、と心から思える、心の障害を乗り越える『居場所』を提供したい」。松本氏の大いなる挑戦は、まだ始まったばかりです。
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