今回は、(一社)mixjamの代表理事、辻千恵さんにご登壇頂きました。勉強会の表題は、そのまま辻さんの人生そのものを貫くミッションでもあります。
『インクルーシブ』という言葉は、『包括的な』と訳されますが、最近はよく、教育の分野において使われることが多いようです。「子どもたちが、どんな個性も能力も条件も、存分に生かし、自分らしく成長するインクルーシブな環境拡充を実現する」。この辻さんの使命が意味するところは、そのまま『インクルーシブ教育』の概念に通じます。
この悲願を達成すべく、辻さんは昨年4月に一般社団法人を自ら立ち上げ、同じ志を有する数名の起業家とともに、『未来区ソーシャルビジネスパートナーズ』を発足。今年に入ってから、彼らの事業は着実に準備を整えつつあります。
病弱だった幼少時の経験から「自分のように医療を必要とする子どもたちのために働きたい」という志を立て、知的障害・発達障害児の療育や生活支援に従事してきた彼女。やがて、その問題意識は、多様性を持つ子どもたちの教育へと向いていきます。それが現在の使命感につながっていくわけですが、十年前の彼女は、その社会問題を解決する術や方向性を見出すことが出来ずにいました。
その迷走状態から彼女を引き上げたのが、現在のメンターであり、ビジネスパートナーでもある、クラウドナイン・エデュケーションの清水亜希子さんです。清水さんは、辻さんに「自分の求めていたものはこういう仕事かもしれない」という方向性を気づかせ、また、それを実現する術となる新しいビジネスの形を提案しました。それが、『ユヌス・ソーシャルビジネスカンパニー』の概念です。
「社会的課題の解決を目的としたビジネスモデル」というスタンスで、まったく新しい「子どもたちや親たちの学び場」を実現しようとしている辻さんたちの挑戦。今後の展開が楽しみです。
(追記)
辻さん曰く、「家族が家族として機能するかたち。お子さんの問題行動をお子さんだけのものとして解決しようとする現状を変えたい」。そして、「子どもたちも親たちも、心のままに生きられるのだという考え方を知ってほしい」という強い想いにも、大きくうなずかされました。
ゲストとしてご登壇頂いた、彼女のメンター清水亜希子さんが、辻さんに寄せている期待の言葉にも、深いものが感じられて。
「彼女(辻さん)の情熱をかたちにしないと、日本の教育とか障がい児教育で、自分を不当に扱っている人たちが、いつまでも自分を大切に出来ない。彼女があきらめても、私があきらめない。だから彼女の意欲に合う大きな器で、彼女を活かしたいと思った。」という、愛情たっぷりの言葉には、感動すら覚えました。
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