今回は、㈱LAPのフォトグラファー、原田紗千子さんにご登壇頂きました。ニューボーンフォトとは、生後14日以内の新生児を、ユニークかつ神秘的に表現する写真技術です。母親の胎内にいた頃の姿を無理なくポージング出来るのは、この期間に限られるらしく、人生の中でも貴重な一枚になり得る写真と言えそうです。海外では既に10年前から知られていますが、日本はまだまだ導入段階。ご家庭への出張撮影サービスが数千億円規模の市場に成長するという予測もあり、この新ジャンルも、今後の浸透が期待出来そうです。
原田さんは、その撮影技術を、助産師資格を持つ専門家のもとで学びました。写真家として6年目の彼女ですが、ウェディングフォトの世界では、多くの受賞歴を有しています。近年は、沖縄リゾートウェディングフェアin香港・台湾のメインビジュアルにも選出されました。
輝かしい実績をウェディングの分野で挙げながらも、ニューボーンフォトの世界に飛び込んだのは、彼女自身の経験から来る使命感があったからです。それは妊産婦の『産後うつ』の現状。出産後2週間以内にうつの症状がみられた妊産婦の割合は2割を超えており、そのうち一年以内での自殺者数は、最近の過去2年間のデータでも100人を超える数が報告されています。
原田さんご自身も、過去において精神的につらい思いをした経験があります。そして、そのつらい状態から救ってくれたのが、東北の震災の折に参加した、被災地の写真洗浄ボランティアでした。泥まみれの写真から現れる赤ちゃんの姿や結婚式の様子。一枚の写真が放つ幸せの記憶が、当時の彼女のマインドにも良い影響をもたらしたのだとか。
一枚の写真が人に与える影響を熟知している彼女。ニューボーンフォトが産後うつ自殺の抑制に効果的であることを、出来るだけ多くのお母さんに知ってほしい。今の彼女の、大きな原動力です。
【補足】
ちなみに、ニューボーンフォトを撮影することの効果について、以下のポイントをお話しされていました。
●家族以外の人間(写真家)と話すきっかけが作れることで、気分転換になる。
●撮影のつかの間、新生児の扱いに手慣れた、信頼出来る写真家にこどもを預けることで、ひと休み出来る。
●子育てにイラつきを覚えても、写真を眺めることで、お子さんを授かった時の、幸福感に満ちた自分自身の感情に、立ち帰ることが出来る。
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