来年の大河ドラマの予習も兼ねて。 お正月はこの小説がおススメです。

お正月は、9連休という方も多いと思います。

今から時間を持て余しそうと感じている方には、この小説をおススメします。今なお人気が高い、時代小説の金字塔『国盗り物語(司馬遼太郎著/新潮社刊)』です。

 

美濃の蝮と恐れられた戦国大名、斎藤道三の生涯を前編で描き、後半では、その道三の愛弟子ともいえる二人の武将、織田信長と明智光秀の対立を軸としています。来年の大河ドラマは『麒麟がくる』。明智光秀が主役ですので、もちろん道三は最重要人物として描かれるはずです。物語の流れを知る上でも、かなり参考になるでしょう。文庫版は全四巻という構成。読み応えはバッチリです。

 

特に、前半の斎藤道三編は、終始波乱万丈の展開で、ページをめくる指が止まらない程の面白さ。僧侶からドロップアウトし、乞食牢人に身をやつした庄九郎(道三の本名)が、あらゆる奇策を弄して、美濃一国の国主へと駆け上がっていきます。その目的は、中世日本を蝕んでいた、既得権益の破壊。貴族と化した領主や、当時の経済を不当に牛耳っていた寺社組織に、次々と革命を仕掛ける庄九郎。3つの「スゴイ!」で、彼の超人ぶりを紹介します。

 

●其之一、駆け引きがスゴイ!

心の動きを先読みすることに秀でています。「追えば逃げ、逃げれば追われる」と言いますが、まさにそんな心理戦を展開し、安売りすることなく、権威者に高く自分を買わせるのです。その下準備に抜かりはありません。

 

●其之二、悪党ぶりがスゴイ!

元僧侶とあって、一大事や戦闘の折には、無意識に念仏を唱えます。只、神仏への言上がひと味違う。願いやご加護を祈るのではなく、「我のために働け」と命令するのです。彼にとって神仏とは、あくまでも目的を果たすための道具に過ぎない。見事な悪党ぶりです。

 

●其之三、潔さがスゴイ!

瞬く間に美濃を手中に治めつつある庄九郎に、美濃衆は大反発。ついには彼の城を大軍で取り囲みます。絶体絶命の彼はどうしたか。その結末は、小説にてご確認を。きっと、彼のあまりの潔さに、美濃衆同様、仰天することでしょう。