第63回『地域エコシステム構築に向けて。起業支援の最新事情をリポート』

今回は、GxPartners LLPマネージングパートナーの寺井博志氏にご登壇頂きました。寺井氏の当勉強会でのご登壇は、2年ぶり2度目となります。

 

前回の勉強会では、寺井氏が運営に携わっておられる、主に福岡を拠点とする起業家支援コミュニティ『StartupGo!Go!』における活動のご紹介を中心にお伝えしましたが、そのなかで提起された重大な課題のひとつに、「九州の脆弱なリスクマネー環境」がありました。今回は、その課題に対して、『StartupGo!Go!』と福岡地場の代表的なインフラ企業が、どのように改善に取り組んでいるのかを見ていく内容となりました。

 

昨年4月、『StartupGo!Go!』は、地場大手金融FFGとともに、九州オープンイノベーションファンドを設立しました。設立目的は、シード・アーリー期※の段階にある地域の起業家に、資金を供給することです。また、ファンドの組合員である地場大手のインフラ企業と起業家の協業によって、破壊的イノベーションを有するサービスが生み出されることも期待されています。大手企業が活かしきれていない経営資源と、起業家の創造的アイデアの融合が、地域に新たなインフラをもたらすのです。

 

『StartupGo!Go!』が、従来から行ってきた多様な支援と連携しているのも、大きな魅力です。昨年開催されたアクセラレーション・プログラムUPDRAFT』と、大手企業とコラボしたオープンイノベーション・プログラム西鉄Co+Lab』や『凸版印刷co-necto』は、その好事例でした。前者は、国内有数のメンター陣が、成長段階のアイデアやサービスに対して磨きを掛ける講義プログラムであり、後者は、開催企業との協業推進を図る選考プログラムです。

 

今まで、「支店経済都市」と云われ続けてきた福岡。これらの実践的な取り組みが、福岡をさらに魅力的な「起業家の街」へと変えていくことを願っています。

 

※シード・アーリー期とは… 起業における成長の初期段階で、「シード」は立ち上げ準備期間、「アーリー」は起業経営が軌道に乗るまでの5年程度の期間を指します。