究極の波乗りを追求しつつ生計を立てる。夢から起業したサーファーの物語。

60年代後半から70年代前半は、サーフィンスポーツにとって、かなり革新的な季節でした。

 

それまでのライフスタイル的な楽しみ方に加え、競技としての側面も整備され、ファンが増加したのです。ボードも競技化に伴って機能性が追及され、レングスやフィンにも改良が施されました。

 

一方で、サーフィンカルチャーの勃興期に合わせて、多くのブランドショップが創業しました。今なお根強い人気でサーフィン界に君臨する老舗ブランド『リップカール』『クイックシルバー』も、この頃、オーストラリアのトーキーという、海辺のちいさな街で誕生しました。今回ご紹介する2012年の映画『ドリフトー神がサーフする場所(モーガン・オニール他監督)』は、そんな創業者たちの実話をもとに創られています。

 

70年代頭のオーストラリア。

母親とともに海辺の街で暮らすアンディとジミーは、大好きなサーフィンが生活の中心。特に弟のジミーは、サーフィンで才能を発揮し、地元で注目される存在。兄のアンディは、そんな弟を誇りに思いつつ、家計を支えるために製材所で下働きに汗を流します。

 

製材所の仕事に嫌気が刺していたアンディは、ある思いつきで起業を決意。家族と友人の協力を得て、サーフショップを開きます。

 

当時、まだ出回り始めて高価だったウェットスーツを母親に縫製してもらい、機能性を重視したショートレングスのボードとともに販売。流れ者のヒッピーで水中カメラマンのJBに、商品のスーツとボードを駆使して波に乗るジミーの映像を撮影してもらい、海岸線のさまざまな街で映写会を実施。商品は見事に売れていきます。

 

一方で、JBはビジネス一辺倒での成功に疑問を投げ掛けます。昼日中に独り、気持ちよさそうに波に漂うサーファーを指して、こうつぶやきます。「俺たちがあくせく商売する間、彼はあそこに。彼は夢を生きてる。俺たちは?金じゃ買えない。彼は魂を売らない」

 

順調に見えたビジネスですが、あっという間に運転資金は底を尽き、融資を得ようにも銀行は相手にしません。さらにスキャンダルにも巻き込まれ、お店は廃業の危機に。ジミーとも仲違いしたアンディは、起死回生の策に出ます。

 

さて、感動的な結末や如何に!ぜひ本編にてお楽しみください。