共和党現職のトランプ氏と民主党バイデン氏が争った米大統領選、最後の最後まで目が離せない大接戦でした。バイデン氏に票を投じた国民の大半が、「反トランプ」という理由で彼を選んだとのこと。氏の人柄や政策は二の次だったようです。それを踏まえると、(私自身の好き嫌いは別として)トランプ支持派の圧倒的熱量と、彼らを熱狂させたトランプ氏の手腕に、驚嘆の念を禁じ得ません。
選挙の行方を見ていて、株式投資に関するある例話を思い出しました。20世紀を代表する英国の経済学者ケインズの『美人投票』です。この例話で彼は、投資家の行動パターンと市場の姿を、簡潔に表現しようと試みました。
あるウェブサイト上で美人コンテストが開催されました。数多い候補の中から最終的に王座を争うことになったのは、いずれも昨今の人気女優、北川景子さんと仲里依紗さんです。このおふたりに再投票することで、最高の美人が決定されるというわけです。
さて、私はどちらに投票するか。迷う理由はありません。仲里依紗さんに投票します。世間の思惑は関係ありません。私は女優としての彼女のファンですし、もちろん美しい女性だと思っているので。
しかし、ここで悩ましい問題が発生します。実はこのコンテストで勝者となる候補を選んだ投票者側には、多額の賞金が授与されるというのです。
私のなかで、里依紗さんに対する忠誠心が揺らぎます。賞金がもらえるならば、彼女には申し訳ないが、出来れば勝者に投票したい。「自分が誰を選ぶか」ではなく、「その他大勢が誰を選ぶか」を真剣に考えます。となると、オリコン主催の『女性が選ぶなりたい顔ランキング』で、昨年から2年連続の首位に輝いた、北川景子さんに分があるのでは?私のカーソルは、里依紗さんの名前からゆっくりと遠ざかっていきました。
株式投資とは、本来はその株を発行する企業への期待感からなされるものです。長期的な視野に立ち、応援したいと思わせる企業の魅力や可能性に投資するのです。しかしながら、短期的な売買が横行する現実の市場では、目先の利得が優先され、企業の本質的価値が吟味されることなく取引されるケースも多いことでしょう。
今回の選挙も、結果的に単なる『美人投票』だった、なんて評価にならなければよいのですが。
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