追悼ショーン・コネリー。 泥棒稼業のマッチョなジイちゃんを演じた意欲作!

先月末、英スコットランド出身の名優サー・トマス・ショーン・コネリーが、享年90歳で他界しました。彼の当たり役と云えば、もちろん映画『007』の初代ジェームス・ボンド役ですが、その他にも印象的な役柄を幅広く演じています。今回は、私が観てきた中で、特に今でも気に入っている彼の主演作品をご紹介します。

 

87年公開のアメリカ映画『ファミリー・ビジネス(シドニー・ルメット監督)』は、コネリーが還暦を目前にしての作品で、前年には『アンタッチャブル』でアカデミー助演男優賞を受賞、翌年には『レッド・オクトーバーを追え!』で、ミステリアスな軍人役を熱演しています。まさに円熟期でした。

 

作品の良し悪しは、評価が分かれるところです。コネリーは泥棒稼業を誇りとして生きてきた人物を演じているので、平和な日本人の倫理観からすると、受け入れ難い部分も少なからずあります。傍目から見ると、家族全員がなんとも短慮で浅はかで、もっと真っ当な考え方は出来ないものかと苦笑いしてしまうのですが、移民としてアメリカ社会の底辺で這うようにして生きてきた彼らにとっては、真っ当な道を選択することのほうがリスキーだったのかも。今にも切れそうなか細い絆を、なんとか繋ぎとめようと奮闘する家族の姿が印象的な作品です。

 

NYブロンクスで育ち、今は精肉市場で働く移民二世のヴィト(ダスティン・ホフマン)には、家族に関する悩み事があります。

一つは大学生の息子アダム(マシュー・ブロデリック)のこと。優秀な頭脳を持ち、名門大学で学ぶアダムですが、大事に育て過ぎたのか、親子関係はすれ違い気味。疎遠な状況が続いています。

二つ目は、父親のジェシー(ショーン・コネリー)。スコットランド移民の彼は、泥棒稼業で家族を養ってきました。何度前科を重ねても反省の色はなく、むしろそれを誇りにすら感じています。若かったヴィトを盗みの道に引き入れたのもジェシー。改心した今では父親を苦々しく感じています。

 

コトの発端はアダムから。

彼は大学を辞め、ジェシーに自分の盗みのヤマを手伝うよう依頼します。ジェシーはヴィトにも手伝うよう要求。混乱するヴィトを巻き込んで事態は思わぬ展開へ。続きは本編にてお楽しみください。