会社の研修で、父子家庭支援のNPO法人『京都いえのこと勉強会』を運営されている、木本努さんの講演を拝聴しました。
木本さん自身、約十年前に奥様をガンで亡くされ、まだ幼い男の子三人の子育てを、孤軍奮闘しながら乗り越えられてきたご経験がおありです。その時の壮絶な子育ての現場や、子どもたちと一緒に歩んだ成長の記録。職場に父子家庭の大変さを理解してもらえなかった苦しみ、(最愛の奥様との)つらい死別から立ち直っていく様子などを、『シングル父さん子育て奮戦記(ぱるす出版刊)』という一冊の本にまとめられています。
世にいう「母子家庭」の存在は、比較的見聞きすることが多いのですが、「父子家庭」の情報は、なかなか表面上に浮き上がりません。厚労省の調査によれば、「ひとり親家庭」の内訳として、「母子」が全体の85%を占めているので、やはり稀なケースではあるのでしょう。それだけに、いざ「父子家庭」となった際、行政等のフォローはあまり期待出来なかった、と木本さんは述懐されています。
世帯収入を夫が担っているケースが多いので、「妻が死んでも経済的に困窮しない」という考えが世間に根強く、「精神的・肉体的困窮」まで軽視される傾向があるとも。実は「孤立に陥りやすい」父子家庭。その現状を変えたくて、木本さんはNPOを創設しました。
木本さんは、生命保険の担当者についても、その役割について思うところを主張されています。奥様が亡くなられた時、保険会社から保険金300万円が支払われました。経済的に困っていなかった彼は、「お金のフォローより適切なアドバイス」が欲しい、と切実に思ったそうです。例えば、役所への書類提出の手順や相続について。または細々としたお金にまつわる相談など。そのポジションを担ってくれる存在が、周囲にいなかったと。
「生命保険の担当者さんじゃないですか?寄り添ってアドバイスが欲しかったんです」。この言葉に、グッと胸を押されました。保険に携わる者として、さらに精進せねば、と誓いました。
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