孤独を恐れない。それは自己との対話の機会。真の自由を得るための。

新型コロナ禍が、終わる気配を見せません。ワクチンがようやく世間に普及しはじめ、安堵したのもつかの間、ウイルスは私たちを嘲笑うかのように、毒性と感染力を強めて、収束を阻んでいます。この状況下で、多くの方が、今までの働き方や人間関係について、行動変容を求められました。 

 

長期化する在宅勤務や、人との直接的な交流の機会が抑制されたことで、今までに感じたことのない孤独を味わった方も多かったのではないかと思います。以前のブログでも少しだけ取り上げましたが、ニッセイ基礎研究所が、昨年から定期的に実施している「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」でも、「生活不安」の項目中、「人間関係不安」は、常に上位に存在します。友人との距離感や出会いの減少が、孤独感に大きく影を落としています。

 

孤独は決して悪いものではない。むしろ「孤独である」ことを主体的に選択し、「深い、一人の時間」に身を置くことで、自己との深い対話が実現し、真実の自己と、内面的な充足が得られるのだ……そのように主張する、心理学研究者の本を読みました。『孤独の達人(諸富祥彦著/PHP新書刊)』の著者である諸富氏は、明治大学文学部で教鞭を取りつつ、日本カウンセリング学会認定カウンセラーとして、精力的に一般の方向けのカウンセリング活動も行っています。

 

諸富氏によれば、「孤独」は3つのステージに大別されるそうです。

ひとつ目は、「非選択的孤独(孤立)」。自分の意志に関わりなく、否応なく訪れる孤独です。離別や死別、失職などのネガティブな側面。

ふたつ目は、「選択的孤独」。孤独である状況を積極的に受け入れ、他者とのしがらみや同調圧力から解放され、心の自由を得られた状態。

最後は、「実存的孤独(最高の孤独)」。ふたつ目のステージからさらに深化し、自己との対話によって、「魂のミッション(使命)」に辿り着く状態なのだそうです。

 

現代社会で、孤独から目をそらすことは困難。ならば主体的に選択すべきであると、この本では語られています。