衆院選挙に思う、政治と国民の健全な関係。スマイルズ『自助論』から。

岸田新首相の号令で、衆議院が解散しました。今月19日に公示、31日が投開票となります。

 

今回の衆院選における各党の公約は既に発表されており、経済対策や新型コロナ感染対策については、どこもほぼ似通った主張となっているようです。従って、各党の争点としては、『給付金』『夫婦別姓』『原発』の三つが俎上に載せられるとのこと(日経新聞調べ)。

 

私も、今後の各党の主張を吟味しつつ投票に臨む予定ですが、現時点で既に決めている判断基準がひとつだけあります。それは、特に『給付金』をアメ玉にして、声高に叫ぶ政党や候補者は、絶対に支持しない、ということです。

 

もちろん、給付金が実現すれば私もうれしいし助かります。貰えるものは、遠慮なく貰います。しかし、この深刻なコロナ禍中において、そのような一時的なカンフル剤で、国民の気を引こうなんて考える浅はかな政党や候補者が存在するとしたら、そんな政治家に、この国難をお任せすることは出来ません。もっと経済や雇用の大枠を変革していく発想や胆力が必要なこの時期に、「このアメちゃんは特別美味しいよ」だなんて、あまりにも国民をバカにし過ぎです。

 

19世紀のイギリスで書かれ、今でも世界中に多くの愛読者を持つ自己啓発書のベストセラー『自助論(サミュエル・スマイルズ著)』。過去の成功者の人生を例として、勤勉実直であることや自己修養の大切さを説いている書物ですが、そのなかに、政治と国民の理想的な関係を問うている部分があります。

 

スマイルズは、このように書いています。「政治とは、国民の考えや行動の反映にすぎない」と。続けて「国民全体の質がその国の政治の質を決定する」のだとも。また、「法律を変え、制度を手直ししたからといって、高い愛国心や博愛精神が養えるわけでもない。むしろ、国民が自発的に自分自身を高めていけるよう援助し励ましていくほうが、はるかに効果が大きい」という指摘には、大いに溜飲が下がる思いがします。

 

まずは、自身がどのような人間であることを誇らしく思えるのか。そこから、社会や政治との関係性を考察していくことが、強く求められているのかもしれませんね。