パーパスという名の北極星は、宇宙船地球号をどんな未来に導くのか。

わたしが、十数年前にはじめて生命保険業界でデビューした頃、会社から最初に求められたのは、しっかりした『ミッション(使命)』『ビジョン(実現したい成長像)』を策定することでした。

 

保険は、本来お客様が求めていない、ネガティヴな未来に対してお役立ち出来るものです。お客様には、想像したくない負の未来を想起してもらわなければなりません。保険営業が「嫌われる仕事」と呼ばれる理由のひとつです。

 

きびしいお断りが続くこともありますが、そんな時に自分を精神的に支えてくれるものが、『ミッション』です。「この保険をおすすめすることで、きっとお客様のお役に立てる」。強い使命感(信念)が、行動を後押ししてくれるのです。

 

マーケティングやブランディング(差別化)の領域において、ビジネスがミッションを重要視するようになってから久しいですね。今や、ミッション経営は起業の常識ともいえますが、最近では『パーパス経営』という概念も、経営者やコンサルタントから聞かれるようになりました。

 

『パーパス(Purpose)』は、『存在意義』とも訳されています。経営の視点で平たく言うと、「わたしたちのビジネスは、何のために社会に存在しているのか」ということになるのでしょう。

 

近年、世界的な規模での行動目標ともなっている『SDGs(持続可能な開発目標)』とも無関係ではありません。我々のビジネスは、この目標に対して、どのような社会貢献で存在意義を示せるのか。それが問われているのです。

 

例えば、「いくら質が良くて安価な服を提供していても、それが人権を軽視する国で、労働者が搾取されることによって作られているのであれば、地球や社会の未来にとって、よいビジネスではないよね」と、そういう評価になるわけです。

 

パーパスを策定することは、そのような社会課題において、決して揺るがない(北極星のような)信念を、ミッションに与える役目を果たす。そう期待されているのです。

 

※冒頭の図表は日経新聞記事(2021.11.29掲載分)をもとに作成。