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ベーシックインカムと新しい資本主義(前編)

岸田首相の施政方針演説に「新しい資本主義」という言葉がありました。「成長と分配の好循環」を促す仕組み作りの過程で構築される、新たな経済の形を指しているようですが、まだ具体的施策は見えません。

 

社会保障制度の健全性を担保する「富の再分配」は、危機的な状況にあります。世界の富の40%弱を人口1%の富豪が独占し、下位の人口50%の資産が全体のわずか2%という現状は、社会不安を増長させ、国家の危機を招くとも考えられています。

 

ベーシックインカム(以下BI)という考え方があります。

「国民一人ひとりに無条件で使いみちの自由な現金を一定額給付する制度」の事で、数年前からよく聞かれるようになりました。先の衆院選では、この仕組みの導入検討を政策に掲げていた党もあります。

 

BIは行き過ぎた富の偏在を解消し、再分配を促す仕組みとして、一部の人たちの間で期待されています。既に実証実験を行っている国も存在しますが、果たして導入後の世界には、どのような効果がもたらされるのでしょうか。(次回に続く)