牛肉はお好きですか?
普段の食生活では、豚・鶏・魚の順で食べる頻度が多い私ですが、一年に数回、無性に牛肉が食べたくなります。先日も、衝動に駆られるが如く、二日間連続で美味しいステーキを堪能しました。
ただ、こんな話を聞いたことがありませんか?
「牛のげっぷなどを含む畜産動物から排出される温室効果ガスは、交通・運輸のそれより大きい」。また、畜産牛の飼育は、大量の穀物を必要とするため、世界の需要に適う牛を育てるには、かなりの水資源と耕作面積の確保が必要となる、など。
※ちなみに、この「牛のげっぷ」の指摘は正確ではありません。もちろん交通・運輸でのガス排出が圧倒的に大きいのですが、畜産動物由来のガスが問題になっていることは事実です。
そのような観点から牛肉は、環境破壊を助長する「非効率的な食べ物」として見られています。美味しいステーキを前にして、ちょっと後ろめたい気持ちになるお話です。
環境保全を理由に問題視される食品は、牛肉だけではありません。絶滅危惧種に指定されている一部のマグロやウナギなど。日本人も好む多くの食材に対する消費活動が、世界中(特に欧米)からの厳しい視線に晒されています。その背景には「エシカル消費」意識の世界的な高まりがあります。
エシカル消費とは、端的には「倫理的に配慮された消費活動」と説明されています。何に対する倫理的な配慮なのか。それは地球環境や畜産動物、そして弱い立場の生産者に向けられたもの。そう、この概念は、SDGs(持続可能な開発目標)を推進する具体的コンセプトの大きな柱ともなっているのです。
西欧諸国では、古くからこの概念が存在し、環境破壊が深刻さを増した90年代前半から、積極的に品質管理を高める政策として導入されました。さらに、SDGsの取組みが世界基準となったことで、日本もこの潮流に対応しなければ、世界を相手とする食ビジネスはおろか、国の食糧計画でも不利な立場に追いやられる可能性があります。そのあたりの事情は、『エシカルフード(山本謙治著/角川新書刊)』という本に、わかりやすく書かれています。
次世代に持続可能な食糧環境を手渡すために、今私たちが出来る事はなにか。そこには供給者と消費者双方の、食材品質とその製造背景に対する節度ある賢い選択が、なお一層強く求められているのです。
コメントをお書きください