円安が大変な勢いです。
国と日銀はその対応に苦慮する状況が続いています。このまま円安が進めば、食料品や生活必需品の供給の多くを、海外からの輸入に頼っているわが国としては、さらなる物価高騰は避けられません。
そんななか、経済界や金融業界を驚かせるニュースが、最近報じられました。日銀が「レートチェック」を開始するというのです。長年金融業界で働く人間でも、この単語は初耳でした。
レートチェックとは、日銀が為替介入(通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うこと。相場の急激な変動を抑えるのがねらい)を視野に、金融機関に「現在の円買いドル売りのレートはおいくら?」と調査すること。金融機関にしてみれば、「そんなの、日銀さん知ってるでしょ」とツッコミを入れたくなりますが、これは市場に対して、円の価値を守ろうとする日銀の強い意思を示す意味があります。
しかし、実際にドルを売れば、米国は喧嘩を売られた気にもなるでしょう。円安での為替介入は難しいという見方です。
《参照元:日本経済新聞9/15朝刊掲載記事より》
*9/24補足
これを書いて数日も立たぬ22日に、政府および日銀は円買い・ドル売りの為替介入を実施しました。ドル売りの規模は「兆単位」程度にしか明らかにしていません。内容も、キャッシュ売りに留めたのか、米国債まで取り崩したのか、現時点では不明です。1ドル145円あたりをサインとみていたかのような為替介入の実施で、円は一時5円程度も円高に戻しましたが、24日現在は143円前後と、またじわじわと円安に移行しています。
気になっていた米国の反応も、日本政府の「市場の投機的円売りによる過剰な為替変動に対処した」という発言に対して、一定の理解を示しているようです。今後も円安対策の市場介入を継続するのか、政府および日銀の判断に大きな注目が集まっています。
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