「ジェインならどうする?」古典の恋愛小説が導いた、女性たちそれぞれの選択。

欧米のコミュニティでは、伝統的に読書会(ブッククラブ)がよく開催されるそうです。そのルーツは十七世紀頃から見られるようで、もともとはコミュニティの女性たちが集まって、聖書を読む会から始まったのだとか。それが徐々に、文学作品をテーマに扱うようになったのだそうです。今では大人の社交場として機能しており、お茶やお酒などを嗜みつつ、さまざまな形で文学交流を楽しむスタイルが一般的です。

 

読書会をテーマにした小説や映画も珍しくありません。身近でありながらも、普段は口にしない話題をおもいきり語り合える場として、ある種の非日常を感じられる空間なのかもしれません。

 

今回ご紹介する映画『ジェイン・オースティンの読書会(ロビン・スウィコード監督/モッキンバード・ピクチャーズ制作・ソニー・ピクチャーズ配給)』は、07年に公開されました。原作小説とともに、高い評価を得た作品です。

 

ジェイン・オースティンは、十九世紀イギリスで活躍した女流小説家で、主に女性の感情や私生活を丁寧に描いた作品で人気を博しました。最も有名な作品に『高慢と偏見』があり、この物語は、今までに何度も映像化されました。ちなみに、私は彼女の作品を読んだことはありませんが、この映画だけでも充分に楽しめました。

 

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結婚バツ6もなんのその、人生を謳歌するバーナデットは、友人でブリーダーの独身女性ジョスリンが、愛犬の死に落ち込んでいる様子を見て、彼女を励ますための読書会開催を思いつきます。

 

課題本は、バーナデットが愛してやまないジェイン・オースティンの代表作6作。それをひと月に一冊ずつ読破し、6人の仲間で評論し合うというもの。もちろん、美味しい料理とお酒を用意して。

 

バーナデットの呼び掛けで参加を決めた(あるいは強制された)メンバーは、いずれも人生の曲がり角に差し掛かっているワケありな人物ばかり。彼女たちは、ジェインの作品に触れ、仲間の前で感想を述べ合ううちに、物語の価値観と自分自身の人生とを、重ねて見るようになっていきます。

 

「ジェインならどうする?」

人生が大きく揺さぶられたその瞬間、ジェインの物語は、彼女たちを何処へ導くのでしょうか。