今年元旦の日経新聞に、興味深い記事が掲載されていました。『信頼築くカギ「フェアネス指数」 政治経済・人権、10項目で』という見出しの特集記事です。
昨年春にロシアがウクライナに侵攻して以降、『民主国対権威国』という対立構図は、より深刻な分断を世界にもたらしています。グローバリズムを背景に機能してきた金融や経済、そして様々なイデオロギーは、世界中の至るところで混乱の渦中にあり、以前の常識が通用しないといっても過言ではないところまで来ています。そのような状況下において、日経新聞は独自に、「国際関係を結び直す評価軸」として「フェアネス(公平性)指数」を作成しました。
「分断を乗り越えてグローバル化を進めるには、コストや効率を超えた視点が要る。政治や人権、環境に絡む活動を加味して各国を評価し、信頼を築けるかどうか可視化を試みた」として、「①政治と法の安定②人権や環境への配慮③経済の自由度」の3分野の合計点で、84の国と地域をランキングしています。同率1位はフィンランドとスウェーデン。日本と米国は、それぞれ11位と17位でした。
「民主主義と権威主義の対立軸で世界はおさまらない」。イデオロギーを超え、世界秩序を推進していくための物差しとして、「政治の透明性」「汚職の多寡」「互恵性の尊重」などが挙げられています。
記事を読みながら、私は松下幸之助翁が提唱していた「素直」の定義を思い出していました。
松下翁は、人類が今後も繁栄し続ける条件として、「素直な心」が肝要であると折りにふれて述べられていたそうです。翁による「素直な心」とは、「私心なくくもりのない心」「一つのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心」なのだそう。
これが、個人の心掛けから社会、社会から世界に拡がれば、戦争や貧困はなくなる。松下翁は、著書「素直な心になるために(PHP研究所刊)」の中で、そこまで期待をにじませていました。まさに「フェアネス」の実践と云えるかもしれません。
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