先日のニュースで、今夏開催のコミケも盛況であったことが報じられていました。なんと来場者数は2日間で26万人。ここまで人を集められるイベントはそうはないでしょう。猛暑や人混みをものともしない、コミケ愛好家たちの熱意が伝わってきます。
実は私も、中学生から大学生時代まで足繁くコミケに通っていました。高校生からは、自ら描いた漫画を仲間とともに冊子にまとめ、実際に販売していたものです。だから、今まさにコミケで青春を謳歌している人たちの熱狂ぶりは、よく理解出来ます。まさに、読み手(ファン)と描き手(作家)が表裏一体、混然となって感性を刺激し合うあの場の雰囲気は、参加したものでないとわからない世界かもしれませんね。
昨年公開の映画『メタモルフォ―ゼの縁側(狩山俊介監督/日活配給)』を観ました。主人公の女子高生うららは、50歳以上も年が離れた老女の雪と出逢い、今まで誰とも話題に出来なかった「推し」漫画の、同好の友人を得ます。
うららの閉ざされた世界が、雪と知り合ってからキラキラと輝き出す様子は、誰もが大切にしている青春の思い出に、大きく重なって映し出されることでしょう。そして、年輪を帯びた雪の滋味溢れる言葉が、徐々にうららを新たなる可能性へと歩ませていきます。それは、雪にとってもおなじこと。「青春」とは、年齢に限らずいつでもやって来るものなのかもしれません。
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女子高生うらら(芦田愛菜)には、誰にも秘密にしている「推し」があります。それはBL(ボーイズラブ)漫画。自室で男の子同士の恋愛物語を愉しむことが日課の、ちょっとサエない女の子です。
ある日、バイト先で接客したおばあちゃんの雪(宮本信子)は、なんとBL漫画の愛読者。うららは怪訝に思いながらも、次第に雪との友人関係を深めていきます。
雪の自宅の縁側で、BL話に花を咲かせるふたり。ある日、雪はうららに、「自分で漫画描きたいと思わないの?」と問いかけます。
思ってもみなかった提案に動揺するうららでしたが、それをきっかけとして、やがてふたりは大きな冒険を試みることに。奇跡を呼ぶ夏の扉が開かれた瞬間でした。
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