昨年よりオンライン面談の機会が増えています。パソコンモニター越しに、初見のお客さま(お住まいの地域はさまざま)と面談するわけですが、かつてのような直に接する面談とは似て非なるものがあり、いまだに要領を得ません。
私たちコンサルティング営業の仕事は、まずはお客さまの信頼を得るところから始まりますが、直接対面とオンラインとでは、お客さまに与える情報量に大きな差があります。当然、安心感をもたらす人柄や雰囲気などは、直接対面のほうが伝わりやすいでしょう。
オンライン面談ではその点を補うべく、直接対面以上に「話し方や気遣い」に注意を注ぎます。「この人なら自分のことを理解してくれる」とお客さまに感じてもらえるコミュニケーションの取り方が、安心感へとつながります。
とはいえ、このスキルが大変困難なものであることは、さまざまな環境を通じて、みなさんも日々感じておられることでしょう。
今回ご紹介する『頭のいい人が話す前に考えていること(安達裕哉著/ダイヤモンド社刊)』では、それを身につけるための基本的な考え方や姿勢のヒントが記されています。ちなみに、タイトルの「頭のいい人」という表現に、「ケッ」と毒づいてしまった方。安心してください、私もそうでした(笑)。
現役の企業コンサルタントでもある、著者の安達氏が定義する「頭のよい人」とは、「SQ(社会的知性)が高い人」を指しています。単純に、勉強が出来て学歴が高い人や、お金儲けに長けている人を指すものではありません。社会的知性が豊かな人、つまり、「他者の思考を読み、信頼を得て、他者を動かす能力」が高い人は、社会人もしくは家庭人として、とても貴重な存在だと云えます。氏曰く、この能力は、深く考える習慣を身につけるとともに、思考の質を高めることで、誰でも備えられると説いています。
ともすれば人は、相談者の前で自分の能力や知識を披露したくなるものですが、結果として相手の信頼を得られるかどうかは別物です。むしろ自分の意見を差し挟まず、傾聴に徹するほうが、大きな安心と信頼を与えられるかもしれません。口を開く前に、まずは「(どのような接し方が)相手のためになるのか」を冷静に考えてみる。これが、他者から信頼を勝ち得る「知性」の真髄なのだと、安達氏は述べています。
「本当に頭のいい人とは、大切な人を大切にできる人」。氏のあとがきの言葉に、大いにうなずきました。
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