年が明けて、家族とともに初詣に出掛けました。
お宮をあとにする頃にはお昼の小腹がすく時間帯で、駐車場となりのいかにも老舗という構えの喫茶店に入店。美味しいナポリタンをご馳走になったところで、アフターコーヒーを注文しようか、少し迷いました。駐車場に自販機があったので、それでもいいか、と思ったのです。
しかしながら、思い直して家族分の飲み物を注文しました。お正月から老夫婦おふたりで切り盛りされているお店。大変なご苦労だと思います。そのご苦労に報いたいと考えたのですが、実は年末に読んだ、ある本の内容が頭に浮かんだからでもあります。
『お客さん物語 飲食店の舞台裏と料理人の本音(稲田俊輔著/新潮社刊)』は、飲食店(文化)が大好きで、自らも南インド料理店を営まれている稲田さんのエッセイ集です。飲食店シロートの私が読んでも面白かったので、実際にお店を営んでいる人などは、所謂「あるあるネタ」満載で共感しどころが多いのではないでしょうか。
具体的な解決策は示されていないものの、いまどきの飲食店が抱える問題にも多く触れています。例えば深刻な人手不足問題。昨今のインフレ時における値上げについて。サービスの「適正価格」をどう考えるか。客がレビューサイト上で発信する意見についての心構えなど。私にも飲食店オーナーのお客さまが数人いらっしゃいますが、よく聞かれる話題です。
冒頭の喫茶店で思い出したのは「ざわつかせるお客さん」というエッセイでした。複数注文を前提とする飲食店には、お店とお客との間で暗黙のルールがあります。例えば、居酒屋ではお通しやお酒の注文は当たり前(お酒がダメならウーロン茶など)。コース料理を前提とするイタリア料理店で、スパゲティ単品のみの注文は、お店にとってはあり得ないオーダーです。喫茶店なら飲み物注文は必須でしょう。しかし、世の中には自儘を押し通すお客も一定数いて、居酒屋ではお水で済まし、本格料理レストランでは単品注文でも何食わぬ顔。これが店員さんを「ざわつかせる」のです。
ルールがあるのは、それによってお店の経営をなんとか成り立たせるため。飲食店は基本的に薄利商売なのだそうです。さて、みなさんはこの問題をどう考えますか?
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