第67回『次世代の職人にバトンを渡したくて 起業後12年間で挑戦してきたこと』

今回は、株式会社SYNC(シンクファニチャー)の宮城真一さんにご登壇いただきました。

 

遠賀郡水巻町に工房を構えるシンクファニチャーさん。創業は2010年です。創業当時はたったふたりからのスタートでした。社名の「SYNC(同調)」には、「職人とお客さまが足並みをそろえることで、それぞれのライフスタイルにあった特別な家具が出来る」という信念が込められています。

 

しかしながら、創業当時はなかなか思い通りの仕事が出来ませんでした。お客様と思いを共有して、よりよい家具を提供したいのに、その役割はなかなか彼らにまわってきません。要望から予算まで、ほとんどの決め事は、(仕事を紹介してくれる)取引先とお客さまとの間で決定されていたのです。当時は、そのような案件が9割。宮城さんは、なんとかその状況を変えたいと強く思いました。

 

創業3年目にして、その打開策として着手したのが、主力商品の開発と、情報発信の拠点づくり。現在、工房の評判を高めている「オーダーメイドキッチン」と、工房2階にあるショールーム兼雑貨店「CLASSTA」です。その取り組みが評価され、いまや案件の7割は、評判を聞きつけた個人のお客さまからのご依頼。創業当時に掲げていた、やりたかった仕事の姿に近づきつつあるといいます。但し、そこに至るまでには、取り組み当初から数年を要しました。なんとか続けてこられたのは、スタッフ全員が創業当時からの仕事姿勢に対し、決してブレることがなかったからです。

 

宮城さんには、もうひとつの夢があります。家具職人を「子供たちがなりたい職業」にランクインさせたい。その夢をかなえるために、自分たちの事業を通じて、いま何が出来るだろう。宮城さんは、今もずっと考え続けています。