日本人は「休養」下手?そのお疲れ、のんびりするだけでは取れません。

暑さがジワジワと身体にこたえる季節になりました。適度に暑さへの対策を取り入れつつ、夏バテや熱中症に罹らないよう、充分に配慮したいものです。

 

そこで重要になってくるもののひとつが、休養の取り方なのですが、みなさんは「休養」について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「快適なおうちのなかでソファに寝そべりつつ、テレビやスマホを眺めながらのんびり過ごす」というイメージを頭に描いた方は多いのではないでしょうか。実は私もそうでした(苦笑)。

 

もちろん、そのような休養の取り方もアリなのですが、今回ご紹介する本『あなたを疲れから救う休養学(東洋経済新聞社刊)』の著者で、医学博士の片野秀樹先生によれば、それだけでは、日々の疲れを取り去ったうえで、明日への元気を回復させるには充分ではないと主張されています。では、どうすればよいのか。片野先生の答えは「日常のサイクルに『活力』を加えてみる」というものでした。

 

人間の身体をスマホの充電に例えてみると、前述のような休養では、半分程度しか充電出来ていないとのこと。フル充電のためには、積極的に身体を休める時間に加えて、「あえて自分に軽い負荷をかける」活動をすることが、活力回復のきっかけになるのだそうです。

 

「超回復理論」という言葉をご存じでしょうか。ここ数年アスリートのトレーニング方法によく用いられている言葉ですので、ご記憶の方も多いかと思います。片野先生が提唱されている「休養学」は、この理論の一部を休養の考え方に取り入れたもので、本書にはいますぐ活用出来る休養ノウハウが、数多く記載されています。

 

さて、ドイツの哲学者ニーチェが遺した名言に、「いつも機嫌よく生きるコツは、人の助けになるか、誰かの役に立つことだ」というものがあります。これも、まさに活力が充電される、理想的な休養の取り方のヒントかもしれません。本書でも、人助けは「心理的休養の親交タイプ」として分類されています。

 

休日返上で、災害ボランティアなどの人助けに積極的に参加される方がいらっしゃいますが、大変身体を酷使する活動ながら、現地の困っている人たちの笑顔や感謝の言葉をもらって、むしろ明日への活力を充電されているのかもしれません。「情けはひとのためならず」という言葉もありますが、これもひとつの心の休息を満たす一助なんですね。